2010.3.11.実施 Aグループの出題分析と平均点予想


何年かに一度、出題傾向が変わるのが入試というものですが、今回の愛知県公立高校入試は、その「出題傾向が変わる年」に当たったようです。試験会場で面食らった受験生も少なくなかったかも知れません。具体的には、次の表のようになります。

出題傾向の変化

平均点予想

国語

漢字の読み書き各2問の合計4問だったのが、合計2問に減少。そのぶん四文字熟語が出題された。小説文が出題されなかった。

前年より、ややダウンか。

数学

第1問(小問集合)はこれまで6題だったが、7題になった。角度を求める図形問題はこれまで2題だったが、1題になった。後半の図形の融合問題(難問)が減った。

前年より、ややアップか。

社会

図表の多い問題は相変わらずだが、設問の文章が難解になって、受験生は難しく感じたのではないか。

前年より、かなりダウンか。

理科

例年通りか。酸化銅の還元は一昨年にも出題されたが再び登場(融合問題として)。だんだんネタがなくなってきたような。

前年なみか。前年より、ややアップか。

英語

放送問題のパターンが変わった。英語これまでは5題とも記号で答える四択だったが、今回は、英語を記述する問題もあり。筆記の第1問も新傾向。受験生には答えにくい内容。

前年より、ダウンか。

5教科トータルで見ると、合格ラインは前年より下がると思われます。これまでは数学が難しく国語・社会科が簡単でした。ですから、これまでは数学の得意な受験生が有利となり、国語・社会科の得意な受験生は力を生かせませんでした。ところが今回は、国語・社会科が難化して数学が易化しています。つまり、国語・社会科の得意な受験生が有利になったと考えられます。

ただし、難化のしかたにはクセがあります。相変わらず記号で答える問題が多いので、消去法で丁寧に選択肢を消していくトレーニングを欠かさなかった受験生はこれまで通り得点できたのではないでしょうか(例えば国語の四文字熟語)。英語の放送問題にしてもパターンは変わりましたが難度は変わらないと考えられます。動揺した人とそうでない人で差がついたかも知れません。

今回は「得点しやすい問題が減る」という難化のしかたと捉えることができます。そう考えると、トップ校や上位校では合格ボーダーラインが大きく下がることはないように思われます。ただし、数学が得意で国語・社会科の苦手な受験生にとっては厳しいものかも知れません。

中位・下位校では合格ボーダーラインが下がるでしょう。理由は前述の通り、得点しやすい問題が減ったからです。記号問題の比率が高いので「ヤマカン」が合否を分けるかも知れません。