愛知県の高校比較 失敗しない受験校選びのために(その4) (2010.11.2.)更新
・現役?浪人?----高校ごとのちがい
次に、名古屋大学合格者数で高校ごとの現役/浪人の違いを見てみましょう。左の青いバーが現役+浪人の合計、右の赤いバーがそのうちの現役です。浪人の多い高校と少ない高校でかなりの違いがあるのが見て取れます。
前回(2010年度入試)名古屋大学合格者数(現役+浪人/ 現役 )
もっとわかりやすくするために現役合格者の比率をグラフ化すると下図のようになります。合格者全員が現役生(つまり浪人生ゼロ)だと100%となります。現役100%の大成高校と現役30%台の瑞陵高校では約3倍の違いがあります。
前回(2010年度入試)名古屋大学合格者現役率
・進路はだれが決めるのか
ここで考えていただきたいことは、「なにがなんでも現役合格がベストなか」ということです。経済的事情など状況はいろいろあるでしょうが、「浪人してでも第一志望を目指す」受験生と、「現役で入れる大学でいい」受験生と、どちらがいいかは一概にはいえないと思います。現役の時に名古屋大学に落ちて浪人し、頑張って京都大学に合格した人は「浪人して得たものはたくさあります」と語っていました。なにより、簡単にあきらめないでねばり強く努力する姿勢は、その後の人生においてかけがえのないものとなるのではないでしょうか。
また、名古屋大学至上主義のような雰囲気にも疑問を感じます。「名古屋大学ならどこでもいい(どの学部でもいい、という意味)」「とにかく名古屋大学に入りたい」という高校生や親御さんの声を聞くことがあります。また、「高校入学直後から、親子ともども名古屋大学進学を洗脳されたようなもの」という方の声も聞きました。尾張の公立高校卒業生の親御さんです。名古屋大学には無い学部もあり、自分の勉強したいことがやれない場合もあるのです。ですから、自分の将来をよく考えて、1つの大学にこだわらず視野を広く持って進学先を考えてみることが大切なのではないでしょうか。
大学とは入るのが目的のところではありません。入ってから何を学んだかが将来を決めるのです。入ることだけが目的になってしまっては、入学後の4年間は有意義なものにならないでしょう。高校生の皆さん、自分の将来をよく考えて、地元にこだわらず視野を広く持って進学先を考えてみてください。
・高校の進学指導力は存在するのか?しないのか?
それまで難関大学合格者がほとんどなかった高校から東京大学や名古屋大学などに合格者が出ているのは、もちろん、その高校の「進学指導力」の賜物であり先生方の努力の成果です。が、このような努力が「数」に結びつくのには時間がかかるので今回示したデータには現れず、現状では進学校として伝統と実績のある高校に学力最上位層が集中して成果を出しているもの頷けます。ですから、先に示したデータのように 、高校ごとの最難関大学の合格者数とは、基本的には、高校の「進学指導力」ではなくて、単に学力最上位層の動きによって決まるのではないかと言えるのです。しかし、これには、「いまのところ」という注釈をつけなければいけません。私立高校「特進コース」や市外公立高校の「進学指導力」が広く認められた時、受験生の流れが変わって、高校ごとの難関大学合格者数がガラリと変わるのかも知れません。
(おわり)
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