徒然日記その52. 転塾するのはどんな生徒?(7/10)

 

多くの中学生は塾に通っている。これは良いことなのか悪いことなのかと問われると「良くはない」とは思うのだが、現実として塾通いする中学生は多い。今回は、この塾通いについて。一度塾に入ったら高校入試が終わるまで通い続けるのが普通だと思うのだが(通塾の目的の多くが高校受験に備えるためであるから)、これがなかなかそうはならいないのだ。

 塾に通い続けるうちに勉強の仕方が分かってきて自分ひとりで勉強できるようになって塾に通う必要がなくなったのなら理想的だ。だがそうではない。コロコロと塾を変わるのである。いわゆる「転塾」というやつだ。

 転塾が多いのは成績が中程度---つまりオール3程度前後---の「中間層の子」である。なぜこの層に転塾が多いかというと、なかなか思うように成績が上がらないからだ。塾としては、通知表の2を3にするのはさほど困難ではない。要は下位30%を脱出すればよいからである。ところが、通知表の3をとる層はとても広い。愛知県の場合だと40%もある。だから、2に近い3の力では、4はとても遠いのだ。100人いるとしたら70番から30番まで40人抜きのアップをしなければならない。理科や社会科ならともかく数学や国語の実力は一朝一夕でアップできるものではない。だから思うように成績はアップしない。これを塾のせいにしてしまって他の塾へ・・・。ところが新しい塾でも代わり映えしない。当然である。そしてまた次へ。こうなると、やれ家庭教師だ、通信添削だ、と何にでも手を出すことになる。でも結果は変わらないのである。

 転塾が多い子供の親はヘンに教育熱心なことが多い。いや、教育熱心というよりも「成績」にやたらこだわると言った方がいいか。そのくせ勉強のやり方というものをよくわかっていないので、あれもこれもと手を「出させる」のである。気持ちに余裕を持って子供を見守っていてやればそれなりの効果や成果が期待できるのにそれが出来ないのである(信頼できる塾に通っていればであるが。最近はそういう塾が減ったようだ)。そして高校受験を迎えると不幸はやってくる。受験校ですったもんだした挙げ句に不本意な結果に終わることもあるのだ。もう少し気持ちに余裕を持って子供を見守ってやれないものか。子供にはそれぞれ「伸びる時期」があると思うのだが。もっとも、気持ちに余裕のある家庭で育った子供の成績や学力には全然問題がない場合が多いのだが。

 


塾日記目次へもどる   トップページへ