徒然日記その61. 中学の問題を解けない大学生(9/11)

 

 文部省は躍起になって否定していたようだが、日本の学生の学力は小学生から大学生に至るまで明らかに低下している。そして、まだまだ低下しつつある。長期低落傾向である。先日、興味深い調査結果が新聞に出ていた。京都大学の西村教授(複雑系経済学)が行ったもの。調査は今年(2000年)の4月から6月に、国公私立大学17校の1年生4000人を対象に行われたそうだ。

 理科系大学生に中学生程度から高校2年程度の数学の問題25問を解かせた結果(25点満点)である。「3人がじゃんけんして、3人とも違うのを出す確率は?」(答えは2/9です)---ある国立大では半数以上の生徒が誤答したらしい。オドロキである。中学生レベルの問題でも、最難関国立大学(旧帝大か?)理系学生の1割が誤答したらしい。25点満点として、平均点の最高は最難関国立大学の23.8点、最低は国立大生物系の15.1点。こんなレベルでは大学の授業についていけるわけないなあ。実際ついていけない大学生はとても多いらしい。予備校講師を雇って「補習」している国立大学まであるのだ(情けない)。

 こうなった原因は明白である。理科系学部であるにもかかわらず、入試に数学が必要ないのだ。工学部や理学部で数IIIや数II、数Bや数Cが必要ないのである。数Iだけで受験できる理系学部もたいへん多い。少子化で受験生確保が難しくなってきたので受験教科を減らした結果がこうである。こんなことをしてるくらいなら大学は淘汰されてしまってもよいのではないかと思う。

 いうまでもなく日本は技術立国である。資源のない国がやっていくには技術に依るしかないのだ。ところがこのザマである。さらに授業中の携帯電話や飲食。雑誌には「授業中においしいオヤツ特集」なんて記事が出ていたりする。これが「最高学府」の現状なのだ。「モラル欠如」+「無能化」である。これでは日本が世界から取り残されてしまう日も近いのではないか。

 


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