徒然日記その80. エスカレーター大学? (1/17)

 最近は私立の中学校や高校の人気が高い。この理由は色々考えられるが、私立高校人気についてちょっと気になることがある。私は決して公立「信仰者」ではないし「官尊民卑」思想も持ってはいないが、やはり気になることなので書いてしまおう。

 愛知県では、これまでは公立高校(=県立高校または名古屋市立高校)の人気が高かった。これは学費がかからないことよりも、「公立高校は私立高校よりも上だ」という認識が世間一般にあったからのようである。学力の点でもそう。だから「公立に入れない子が行くところが私立だ」なんていう認識もあったようである(全部じゃないが)。ところが最近はちょっと違う。公立高の旗色がよろしくないのだ。「中途半端な公立高校に通うくらいなら、エスカレーターで附属大学に上がれる私立高校に行かせたい」親が多くなっているのである。この傾向は一部地域では昔からあった。例えば、とくに教育熱心な名古屋市東部の地域など---公立高校と同時に私立高校の合格実績を誇示する学習塾があるくらいなのだ---こういう傾向が広まってきたということらしい。では、「エスカレーターで附属大学に上がれる私立高校」の人気があがったのか。答えはYesである。逆に上に大学を持っていない私立高校は受験生が集まらず苦労しているようだ。新たに大学を設置する学校法人だってあるのだから。

 ところで、大学とはエスカレーターで入るべき所なのだろうか。ここが気になる。ただでさえ大学生の学力低下が叫ばれている時代である。エスカレーターで大学に入れてしまうような所で高校生は「一生懸命」勉強するのだろうか。「高校時代にそれなりの成績をとっていないと大学には上がれない」とは言うものの、「当校は80%が附属の大学に進学できます」なんていう"セールストーク"が飛び交っているのだ。下位20%のちょい上が"最高学府"にそのまま入れるのか。ところで、そういう大学の社会的評価はどうなのだろうか。就職率が高いのだろうか。希望する職種に就ける率が高いのだろうか。社会の第一線で活躍できる教養と知識を身につけることが出来るのだろうか。もう誰でも大学に入れる時代なのである(「選ばなければ」であるが)。そういう時代にエスカレーター式大学って生き残っていくのだろうか。興味深いことではあるが。

 

*(スクールネットより)受験期なので、予定を繰り上げて掲載しています。


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