徒然日記その84. ネット後進国ニッポン (2/5) 

 今回はインターネットのお話し。我が国でもようやくパソコンが普及して「インターネット」という言葉も一般化した感がある。しかし、実情はお寒いのである。だいたい先進国の中でこれほど通信費(電話の通話料)が高くて通信速度が遅いのは日本ぐらいである。これはなぜかというと民営化されたとはいえ、許認可制度に守られているNTTのせいである。電電公社時代となんら変わってはいないのだ。森内閣は世界一のIT国家を目指すと言うが、ならば真っ先にNTTを独占禁止法違反で「営業停止」にして欲しいものである。

 ところで皆さんは.12.12.12.をご存じだろうか。平成12年12月12日に行われたNTTの記者会見である。マスメディアは思いの外騒がなかったが、私個人としては歴史的なものだったと思っている。その内容は、要するにNTTの「ギブアップ宣言」。それまでNTTは「ISDNはじめちゃん」とか「フレッツISDN」など、ISDN回線(デジタル回線)を普及させるべくコマーシャルをバンバン流していた。「ISDNならインターネットも快適」「ISDNならお得」てな具合である。ところが実際はどうかというと(ここから先は個人の主観が入るかも知れないのでご承知置き頂きたい。なにせ怒り心頭なのだ)、そもそもISDNは速くなんかない。たったの64キロビット/秒でなにが快適なものか。ISDNの導入だって一苦労である。私の職場ではISDN回線を引いてネットワークを拡張する計画であった。そこで担当者がNTTに電話。「事業所には担当営業がつきますから後ほどご連絡致します」との返答。ところが、2年たっても連絡は来ていない。また、これは知人のオフィスのことであるが、アナログ回線からISDN回線に切り替えて複数の電話機を使えるようにした。ところが1台の電話機しか鳴らないし、「つながらない」との苦情殺到である。調べてみればNTT基地局内の工事が忘れてあったそうである。NTTとはそういう会社だと私は認識するに至って、マイラインは当然別会社を選択することにしたのだが、それはさておき、12.12.12.である。

 東西NTTは、「これまでのISDNに加えてADSLサービスを開始する」というのだ。「恥を知れ」である。ADSL(xDSL)とは既存のインフラで高速通信を可能とする技術である。タイプにもよるがISDNの10倍以上高速である。しかも常時接続(つなぎっぱなし)で電話も併用可能、さらにはパソコンをネットワーク接続できるのだ。つまり、ADSLならば、例えば学校や事業所の全パソコンで既存のアナログ回線1本で、高速でつなぎっぱなしのインターネット環境を構築できるのである。NTTとのバカ高い専用線契約など必要ないわけだ。ISDNも必要ない。それはNTTだって認識していたのだろう。だから、ADSLサービスを始めようとするベンチャーの活動を阻害していたのである(回線はNTTが独占しているわけであるから)。このことは公正取引委員会からも指摘されているから事実である。それが旗色が悪くなったら今度は自分でADSLサービスを始めるときた。ISDN契約をしたユーザーはどうなるのだろうか(ADSLを使うにはISDNをアナログに戻す必要がある)。ほんとに恥知らずな会社である。

 まあ国内を見渡せば、こういう構図は至る所にあるのだが。例えば、国民が安くて高速なインターネット環境を手に入れるためのインフラはすでにあるのだ(むしろ余っている---東海道の光ファイバー網なんて90%以上が遊んでいるのだ)。それなのに、「世界一のIT国家を目指すべく光ファイバーのインフラ整備に**億円使う」なんてやっている。親方日の丸のばらまき行政である。そこには強大な利権とそれに群がる「負け組会社」(コスト意識と国際競争力ゼロの会社)があるのだろう。NTTがいい例である。そんな企業を税金を使って生きながらえらせているのだ。翻って考えると、教育界だってそうではないのか。莫大な補助金や助成金は果たして有効に使われているのか。私は仕事柄色々な情報に接するがネガティブな情報の方が圧倒的に多い。学校教育法に引っかかりそうな学校法人をいくつも知っているし、国公立の学校だってとんだていたらくである。もっとしっかりやって欲しい学校を挙げたらキリがないのだ。名古屋市立中学校の5000万円恐喝事件と同等の事件を学年主任がもみ消した別の市立中学校だって知っている。いやはや、信頼できる学校は一体どれほどあるのだろうか。

 


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