徒然日記その101. 学力崩壊!その1.読み書きもできない? (6/11)
いよいよ教科書が変わる。文部科学省のすすめてきた「ゆとりの教育」の集大成ともいえる"中身のない"教科書に、である。ただ、1つ注意して欲しいことは、この「ゆとりの教育」は急に始まったことではないということ。二十数年間にわたって続けられてきたことなのである。例えばこの30年ほどの間に中学数学の練習問題数は3分の1に減っているのだ。そりゃ子供の学力だって落ちるはずである。いまだに「学力は落ちてはいない」なんて言う文部官僚(文部科学省になったから「文部科学」官僚か?)がいるようだが、そこまで言うのならば客観的なデータを示して欲しいものだ。現状でこうなのだから、2002年の新・教科書で何が起こるか考えただけでも恐ろしい。学校や塾などで実際に子供を教え続けている先生方は、学力低下を肌で感じているはずである。とくにここ5,6年間は加速度的に悪くなってきていると感じていませんか?
そもそも「落ちこぼれを減らすためには教科書の内容を減らせばよい」という発想が間違っている。「落ちこぼれ」---あまり好きな言葉じゃないから「低学力生」とでも呼ぼう---を真剣に教えたことのある人なら分かっていただけると思うが、こういう低学力生徒に、例えば計算力をつけさせるには、できるだけ多くの問題が必要なのである。ごく簡単な問題から始まって繰り返し繰り返し問題を解きながら徐々に高度になっていく練習問題集が必要なのだ。ところが数学の教科書はその正反対なのである。副読本の問題集にしても問題数は全然足りないし、並んでいる問題の難易度に飛躍があるのだ。これでは「低学力生」はお手上げなのである。残念ながら私は市販の問題集で使えるものにはお目にかかったことがないので、全部自作の計算ドリルプリント集を使って教えている。例えば中1の方程式だけで30ページ。それこそ x+2=4 の移項するだけの問題から始まって、3x=9 のようなわり算だけ→移項+わり算→単項式の分数→多項式の少数→多項式の分数・・・と徐々に高度な内容となっていくものだ。平均以下の生徒にきちんと基礎学力をつけさせるにはこれくらいの問題集が必要なのである(あと、情熱もね)。
さらに、中学生の語彙力について。とにかく中学生は言葉を知らない。少し変わった言い回しだともう理解不能である(彼らは「イミフ」という・・・意味不明の略のこと)。漢字もまるで書けないし読めない。だいたい漢字が表意文字であることすら理解していないので、平気で「門題」とか「屈節」とか書いてくる。もう頭をかかえたくなるのである。これは小学校できちんと漢字を学んでいないからである。漢字ドリルなんて学校じゃやらない。国語の授業時間が少ないのである。語彙力や計算力がこんな調子であるから、算数・数学の文章題なんてもう全然ダメ。問題の意味すらわからないから、例えば道のり問題を図に表すことすらできないのだ。図形にしてもそう。立方体(サイコロ)の絵を描かせたら各辺が平行でなくて面が台形になった立方体を量産するのである。
「読み書きそろばん」は基礎学力の要(かなめ)であったハズである。ところが、この要をおろそかにして、何が「ゆとり」で何が「総合学習」なんだろうか。だれがわかりやすく説明して欲しい。
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