徒然日記その108. 技術家庭科の教科書って。 (8/6)
パソコンが普及して一般家庭にも広まった。だからなのかは知らないが、中学校の技術家庭科でもパソコンを習う。しかし、この習う内容がどうもね。実はひょんなことから中学校の技術家庭科の教科書を読んだのであるが、パソコンの章でひっくり返りそうになったのだ。
教科書の内容は、まず基本操作から始まる。しかしこれが実際とかけ離れているというか、そんなパソコン今時売ってはいないぞ、という内容である。「フロッピーディスクは初期化が必要」で「8インチ、5インチ、3.5インチの種類があり」、「水や磁気に注意する」と書いてある。まあ、基本事項が並んでいるのだが、8インチのフロッピーってまだ使ってるとこあるの?(学生時代に見た覚えがあるぞ)。5インチだってそうだ。そもそもフロッピーなんて初期化して売っているしフロッピーそのものも使わなくなってると思う(私はここ2年で1枚も使ったことはない)。記憶デバイスの主流はCD-R/RWとかコンパクトフラッシュメモリーじゃないのか。しかしこれらは教科書には全く出てこない。
次にソフトウエアの章である。「文字入力にはかな入力とローマ字入力があって、FEP(フロントエンドプロセッサ)が日本語漢字変換をつかさどる」んだそうな。「FEP」なんて何年ぶりに見る言葉だろうか。日本語インプットメソッドなんて、ウインドウズの時代になって気にしなくなったというか空気のような存在になったと思うんだが(何も考えずに、最初からウインドウズにインストールされているマイクロソフトIMEを使うユーザーが大部分であって、ATOKだとかVJEだとかEGBridgeなんて知らない人間のが多いだろうに)。さらに驚くべき事に、インターネットについて一言も触れられていないので、ブラウザソフトも全く出てこないのだ。さらに、プログラムの章もやっぱり、である。BASICである。こんなもの今時使うのか?基礎は重要かも知れないが、だったらハイパーテキスト(HTML)あたりの方がずっと役立つと思うのだが。
一通り読んでの感想は、「中途半端」であり「なんじゃこりゃ?」である。パソコンを持っている(自宅で使っている)中学生には恐ろしく退屈な内容であるし、全然触ったことのない中学生にとっては、ついていけない内容である。また、実際的な部分とかけ離れた内容にも驚く。基礎知識はとりあえずおいといて、まずは日本語入力とwebブラウザの使い方だと思うのだが。
ここまで考えて、ハタと気付いた。そうか、教える側も中途半端じゃないのか。技術家庭科の先生がみんなパソコンを使いこなせるとは限らないわけだ。さらには学校のパソコンだって新しいとは限らない。いまだにWindows95とか98の動かない古いPC98とか、ネットワーク接続もできないパソコンが多くあるらしい。ソフトも同様のようだ。OfficeXPがインストールされて光ファイバーでLAN/WAN接続されたWindows2000モデルが生徒ぶん並んでいるパソコンルームなんてないだろうなあ。ソフトもハードもインフラも不十分だし、教える人間のスキルだってきっとそうなんだろう。公式ホームページに堂々と「全角」のメールアドレスを載せている学校がたくさんあるし。やっぱりIT革命から最も遠いのが学校のようである。これじゃあ情報リテラシーの教育なんていつのことやら。
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