徒然日記その325. 移行措置 高校英語では?  (4/18) 

 

 世間は中学校で教える内容の移行措置に注目しているみたいだけど、2013年からの高校英語のことって、どれだけの人が知っているのだろうか。

 2013年からの高校英語。どういうことかというと、「2013年から高校の英語授業は英語で行う」というものだ。要するに、英語の先生は授業中は(基本的に)英語しかしゃべらないということ。「え?」と思われた親御さんが多いのではないか。今年は2010年だから、たったの3年後だ。つまり今の中1が高校に入ったとき、英語の授業は英語で行われるのである。

 そうなったら、どんなことが起こるか。私は英語の授業が成り立たないと想像している。大学時代の教養課程でネイティブスピーカー(イギリス人)の英語授業を選択していた経験をもとに想像する結論である。これは、教える側(教師側)のスキル(能力)の問題ではなくて、教わる側の英語力の問題だ。

 要するに教師が「深い内容」を英語で説明したら、生徒は全然わからないのだ。知らない単語だらけだし、ナチュラルスピードでそういう内容を話されても耳がついていかないのである。「もっとゆっくり話しておくれ」と、授業でMr.Tに頼んだことがあったけど、「それはキミが遅く聞いているだけだから私は関知しないよ」と言われたものである。

 確かにその通りで、「平易な表現で」「ゆっくりと」話していたのでは英語で授業をする意味が薄れる。そして、「速く聞く」には訓練が必要であって、Mr.Tのナチュラルスピード英語に慣れたのは1年が経とうとしていた頃だ。大学生ですらそんな調子だったから(私は英語が苦手ではなかったぞ)、中学英語を習っただけの高校1年生は、大部分が最初からチンプンカンプン、そして最後までチンプンカンプンなのではないか。そうなってしまうと、英語を習ってないのと同じであって、高校生の英語力はかえってダウンしてしまうのではなかろうか。

 そして、大学受験の英語である。高校の英語の授業が大学受験と全然つながらないとしたら、高校生や親御さんたちはどんな行動をとるだろうか。


一つ前へ   次へ     塾日記目次へもどる   トップページへ