徒然日記その97. どこがIT革命じゃ? (5/7) 

 少し前に、IT化について書いた。今回はその続きを書いてみよう。今は亡き森内閣は、日本を世界トップレベルのIT(情報通信)国家にすべく、2年以内に各家庭にインターネット常時接続環境を整備すると宣言した。これは悪いことではないと思うのだが、問題点が多いことは前回書いたとおりであり、その最大の問題点はNTTである。若い世代にはピンとこないかもしれないが、NTTとは昔の電電公社であって国営企業(公社)だったのだ。その電電公社が民営化されてNTTとなったのだ。他にも国鉄はJRに分割されて民営化された。JRは民営化されてずいぶんサービス面などがよくなったと思うが、NTTは改善していないと思う。公社時代の「親方日の丸」体質がそのまま残っているように思えるのである。

 最近、私はインターネットの高速常時接続サービスであるADSL(デジタル加入者線)を申し込んだ。申込先は名古屋のベンチャー企業だが、使用する回線は今NTTと契約している電話線である。一方、NTTも同様のサービスを始めている。フレッツ・ADSLというサービスだ。つまり、NTTの電話回線を使って、ベンチャー企業とNTTと2種類のADSLを選択できるのである。当然NTTは、自分のところのサービスを選択してほしいだろう。だからベンチャー企業のサービスを申し込まれるのは都合が悪い。そこでなにをしたか?(今でもやっていると私は確信しているが)---邪魔をするのである。なにせNTTは回線を握っているのであるから、その気になればいくらでも邪魔はできる。総務庁が警告したくらいであるから、この「いやがらせ」は相当なものなようだ(参照:NTT東西にDSL営業での不公正行為改善を勧告総務省がNTT地域会社に行政指導)。電電公社時代に税金で引いた電話回線網なのだ。ふざけたまねはいい加減にしてほしい。

 さらに、NTTがIT国家たるうえでブレーキになる理由がまだある。NTTのもつ地域IP網である。たとえばNTTのフレッツ・ADSLが各家庭に普及したらどうなるか。NTTの地域IP網がパンクするのである(例えばこれ)。つまりちっとも繋がらない,繋がってもとても遅い。こうなることは目に見えているのだ。だからNTTは、フレッツ・ADSLを本気で普及させようとはしていないように見える。申し込んだら「工事まで4週間お待ちいただきます」。その2週間後に問い合わせても「4週間お待ちいただきます」。こんなことしていたら普通の会社は倒産してしまうのだが、つぶれないのはさすがNTTである。普通の会社ではないのである。それよりもインフラ整備を怠ってきたことは重罪であると思う。

 そういえば、小泉首相は郵政3事業を民営化すべきだと発言している。今の郵便局もやはり親方日の丸体質であるから民営化して競争原理にさらされた方がいいと思う。窓口は長蛇の列だし郵パックは信用できないし(よく宅配便を利用するが郵パックを使うと送った品物が傷んでいることが多い。他の宅配業者数社ではそういう経験は一度もないのは偶然だろうか)。だいたい郵便物が行方不明になって調査依頼をしたら「見つかりませんでした」と平然と返答してくるような体質である。届かない(どころか紛失する)郵便なんて、写らないテレビを売るよりも悪質であると思うのだが。

 まあ、NTTにしろ郵便局にしろ、私は滅びゆく恐竜だと思っている。E-メールが普及して郵便利用も激減するであろうし携帯電話の爆発的普及でNTTの固定電話の通話料収入も激減である。競争力もなく企業努力もしない恐竜はとっとと滅びればよろしい。これはある意味学校にもあてはまることだが、こと教育が絡むと話はややこしくなってしまう。この点はまたの機会に譲ります。

 


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