徒然日記その118. 学歴と就職  (10/22)

 世の中不景気である。アメリカでのテロ事件の影響で、ますます不景気は深刻だ。そういう状況では、来春卒業する大学生も就職活動で苦労しているだろう。聞くところによると、新卒大学生の就職内定率は半分くらいだそうだ。とくに女子学生は厳しいそうで、知り合いの国立大学の先生によれば、国立だって就職口がない(希望とあわないものばかり)だそうだ。

 これほど就職が大変なのだから、せっかくの学歴も意味がないか。いや待てよ、ちょっと考えてみたい。それは、「思うように就職できないのは、本当に不景気だけが原因なのか」ということ。日本は学歴社会だと言われ(学歴については9月に書いた)、学歴ごとに就職先や賃金は随分違っていたように思う(例えばこういうデータ)。要するに、高学歴ほど収入が多かったのである。それはなぜかというと、高学歴の者のほうが質の高い仕事ができるから(と、いうことになっていた)。しかし、これはかなり疑わしいことである。このことには、ようやく企業も社会も気付いたようで、「能力に応じた給料」という考え方が広まってきたわけである。

 何を言いたいかというと、大卒の就職希望者諸君は、はたして本当に大卒としての能力を持っているのかということ。高校卒業で就職した諸君よりも、4年も余分に勉強したのである。その4年分の価値のある仕事ができるのであろうか。これが出来て初めて、多くの給料をもらう資格があるといえるだろう。

 これは私の全く個人的な印象なのだが、なかなか就職の内定がもらえない大学生諸君は、高望みしているのではないか、ということである。自分の能力以上の企業や職種を希望してるんじゃないか。大卒=大企業という式は、もう通用しなくなっているのだ。例えば語学力。大卒ということは、英語を10年学んだはずである(中学で3年、高校で3年、大学で4年)。さらに第2外国語の単位だって取ったはずだ。ならば英語の読み書きはスラスラできるはずだし、フランス語やドイツ語だって基本的な読み書きは出来るはずである。ところが全然ダメじゃないか。例えば専門教科。理科系の工学部や理学部を卒業したのなら微分方程式くらい使いこなせるはずである。こんな基本的なことができなくて研究開発職を希望したって企業は採用しないだろう。もう学歴だけでは通用しないのだ。これは、最高学府としての教育力のない大学が増えていることにも一因があると思うのだが。

 


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