徒然日記その121. 大学入試におもう (11/12)

 今回は大学の入試制度について。昨年もいくつか書いたが、まだ書き足りないようである。そもそも私は推薦入試という制度が嫌いであるが、とくに、高校からそのまま系列大学へ上がるエスカレーター式が気に入らない。そういう制度では高校生が真剣に勉強しないからなんだが、それとは別の次元で気に入らないことがある。

 大学の姿勢である(学校法人の姿勢とも言えるか?)。例えば、大学をもつ学校法人の高等学校。当然、内部進学の道がある。つまりエスカレーターである。「特別推薦」とか「内部推薦」とかいうものだ。このシステム目当てに入学した者も少なからずいるようであるから、多くの生徒が内部進学を希望するようだ。ところが、多くの生徒は合格しない。力もないから当然なのだが、その時の高校の対応はこうである。「公募推薦もあるから挑戦しえみないか」。公募推薦とは、一般の推薦のことである。だから、この時点で系列(附属)高校に居る意味は薄れるのだが(対策情報などで少しは有利になるかも知れないが)、受験生達は藁にもすがる気持ちで公募推薦入試を受験するわけだ。この公募推薦入試は、たいていが小論文と面接だけであるが、競争率もあるのだから、全員合格というわけにはいかない(むしろ不合格の方が多い)。では不合格になった受験生達はどうするかというと、こんどは学力一般入試に挑戦である。冷静に考えれば分かることなんだが、内部進学枠にもひっかからない学力で、学力一般入試で合格するわけがない(一般的に)。しかし、何度も何度も受験を繰り返す。センター出願、前期、中期、後期、さらには地方試験まで。

 ここまで書いてみて、思いついた言葉が「マッチポンプ」である。何度も何度も入学試験に落として、その都度受験料収入を得るわけである。まあ、学力不足なのだから不合格になるのであって(小論文にだって学力差ははっきり出る)、受験生の努力不足(認識不足=高望み?)がいけないと言えるのだが、受験生の心理(その親御さんの心理)を巧みに利用した「マッチポンプ」と捉えることも出来ると思うのだ。大学受験料だけで莫大なお金が動くのである。こんな「受験経済」が成り立つのは異常だと言えるし、そうでないと成り立たない学校法人は、長い目で見れば、自分で自分の首を絞めていると言えるだろう。


マッチポンプ(match pump)---現代用語の基礎知識より引用

マッチをすって問題に火を付け,次にはポンプを持っていってもみ消してやるといって,不当に金品を召し上げる,利益追求方式。


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