徒然日記その197. 高校まで管理教育? (10/14)
今回は愛知県の高校のことを書こう。愛知県の「管理教育」は、悪い意味で愛知県を有名にしてしまった。「してしまった」と過去形で書いたのは、おおっぴらな管理教育は行われなくなったからであるが、実際には色々なところに管理教育の「なごり」はあると思うのだ。
例えば、管理教育で有名だった公立高校ではいまだにその「風習」が残っているようだ。勉強,勉強で追いまくり、何が何でも大学(国公立大学?)に現役合格させようというのも残っている「風習」の1つのようである。そもそも高校と予備校はイコールではない(部分的に重なるところはあるにしてもね)。ところが、そういう高校ではまるで「当校は予備校のかわりをしている」とでも言いたげだ。
高校生にもなって追いまくらないと勉強できないような者に、私は大学に進学して欲しくないし、合格することだけを目標にした「他人のひいたレール」を突っ走って合格したとして、その先に何があるのか私には理解できない。こういう管理教育高校に期待する保護者の意見にも驚くばかりである。「予備校に通わなくてもいいからコストパフォーマンスが高い」だなんてね。学校教育をコストパフォーマンスで語る人間がいることに私はたまげた。
まあ、考え方も色々あるし、高校に求めるものも様々であってよいのだろうが(笑い)、最後に、私の知る事実をここに書いておこう。
県内のある国立大学の理工系学部のある学科のことである(管理教育が最も盛んであった時代なので現在はどうだか知らないが)。国立大学といえども愛知県内の国立大学には愛知県出身者がとても多い(地元志向が強いのである)。そして愛知県内の国立大学には、たいてい公立伝統校から管理教育進学校まで色々な愛知県の高校出身者が入学してくる。その学生達の大学入学後の学習姿勢が出身高校によって随分と違っていて興味深いのである。管理教育進学校出身者は、ほぼ例外なく、授業をさぼる・勉強しないで単位を取ろうとする・成績は低空飛行・という状態である。それが客観的数字で出るのが落第率である。1・2年の教養課程から3年以降の専門課程に上がる段階で、取得単位の足りない者(つまり成績の悪い者)は進級できない。つまり落第する。この落第者に占める管理教育進学校出身者の比率が大変高い。また、大学4年を終えて大学院に進学する者の数でも違いが見られる(理工系の専門職を希望するのであれば大学院修了は必要条件であると思う)。この大学院進学者の中に管理教育進学校出身者は皆無なのである(大学院入試の合否以前に大学院受験者--つまり進学希望者--が皆無なのだ)。
大学に入ることだけを目標として、いわゆる「受験勉強だけ」を「やらされた」学生は、大学入学後の目的・目標を見いだせず、また、狭く浅い勉強は「学問」へ発展できないのが原因ではないかと思う。
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