徒然日記その209. 大学入試のお話---マークシート方式ならなんとかなる? (3/23)

 

 大学の入学試験が多様化していることは何度も書いたことなのであるが、やはり受験者の多さからして大学入試センター試験がその中心にあることは揺るぎない事実であろう。さて、このセンター試験、他の試験と何が違うのだろうか?

 まず第一に、マークシート方式による客観テストである点に特徴がある。あまりに受験者が多いので採点官が採点なんてやってられないから機械で採点するのだ。つまり、解答するには選択肢(番号や記号)を選んでいくのである。記述式・論述式の試験と違って、マークシート方式では答えの番号を選ぶだけであるから、「お手上げ」「何も書けない」「手も足も出ない」ことはない。その結果何が起こるかというと、「記述式・論述式だと何も書けない」低学力層が「マークシート方式ならなんとかなるからセンター試験も受けてみよう」となるのである。多くの私立大学がセンター試験に参加するようになって、この傾向はますます強まり、受験者数はどんどん増えてきたのである。大学入試センターは試験問題の難易度を調整していつも60%弱のところに平均点が来るようにしたいようである(教科・科目により微妙に変えているようだが)。その結果、低学力層が増えているのに平均点を維持しようとするから問題が簡単になってくるのである。(一応ことわっておくが、マークシート方式ならなんとかなると思って受験した者は何ともならないのは言うまでもない---得点率25〜30%なんて小学生がマークしたって同じ結果になるぞ)

 私はセンター試験が「共通一次試験」と呼ばれていた頃に受験生だったのだけど、あの頃は共通一次試験を受験するのは国公立大学志望の学生だけであった(ごく一部の私立大学は参加していたが)。当時も高得点をマークしたのだが、今のセンター試験問題を解いてみると簡単に満点がとれる。現役時代からうん十年が経って頭の回転が鈍っているにもかかわらず、である。問題が簡単なのである。試験問題が簡単になっているのに、各大学の合格ラインは変わらない。つまり、全体が低レベルにシフトしている---日本全体の学力水準がどんどん下がっているのである。たとえ東大や京大でも、である。これは危機的な状況である。

 そして、この危機的状況が分かっているのは、大学で教えておられる先生方と一部の企業だけなのである。例えば、東海地方の皆さんが憧れる某国立大学(あえて名前は書かない)では、講義(授業)が成り立たないから補習授業をやっているのである。私は、そんなレベルの大学生が将来の日本産業界を引っ張る人材に成長するとは思えない。こう考えるのは多くの大企業(一流企業?)も同じであって、新卒の採用枠を減らして、中途採用で有能な人材を確保しようしている。あるいは、外国人の採用枠を増やしている企業もある(新卒を採用するのは4社に1社なのだよ)。要するに、日本の大学出の新卒採用枠はどんどん減っているのであるが、この事実を知っている人間は思いの外少ないようである。24歳までの日本の若者の失業率が突出しているって聞いたら驚くでしょ?これ、事実なんですよ。だって企業で使い物になりそうもない大学出が多いんだもん。


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