徒然日記その255. 名ばかりの…(その2) (7/30)
以前に書いた「名ばかりの…」の続きである。今回は、高校の名ばかりの「特別進学コース」について書こう。呼び名はいろいろあるが、「特別進学コース」、つまり、進学のための勉強=受験勉強に重きを置くコースを設置している高校がたいへん増えた。これは、「特別進学コース」を望む声が大きくなったからだ。
さて、この「特別進学コース」、確かに授業カリキュラムが違う。授業時間数も多くて、平日でも放課後には補習授業があり、土曜日も授業のあるところが多い。つまりたいへん熱心に教えてくれて、これなら塾や予備校のお世話にならなくても大学受験の準備はバッチリで、余計な費用もかからず時間も有効に使えて高校生も親御さんも万々歳である。
なんてことを目指したのかどうだかは知らないが、少なくとも「特別進学コース」に入学させた親御さんはこういう理想を抱いていたのではないかと想像する。が、そんなにうまくいかないのが世の常なのである。
そもそも授業時間数を増やせばいいってものではない。要は授業の中身なのである。冷静になって考えてみれば当たり前のことなんだけど、教師は「特別進学コース」ができる前と基本的に変わっていないのである。これまで名大や早稲田や慶応の入試レベルのことなんて教えたことない教師がいきなりそんなレベルの授業はできないのである。それどころかそのレベルの入試問題を解けるかどうかさえ怪しいのである。
さらに、進路が多様化して受験教科も多様化しているのに、それに対応できない高校が少なくない。ひどいところでは、受験の必須教科の授業を開講さえできないのである。量的にも質的にも教師が足りないからである。
こんな状態であるから、進学実績が全然あがらないというところも少なくない。もちろん全部がそうではないし、いわゆる難関大学に合格する生徒もいるのだが、それが「特別進学コース」のお陰なのか、通っていた予備校のお陰なのか。
伝統のある進学校には教えるスタッフが揃っている。そして、質も高く意識も高い生徒が多く集まる。そして何より、「学ぶ」という空気がある。こういうものは一朝一夕でできあがるものではないのだ。できたばかりの「特別進学コース」に多くを期待するのは酷なのだと思う。
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