徒然日記その183. そもそも物が「分かんない」 (5/26)

 小中学生の学力低下が激しくて、辞書を引かせてもさっぱりなことは前回書いた。今回はその続きである。語彙だとか言う前に、そもそも物や事柄を知らないのである。

「先生、ピントってなあに?」なんて聞かれたこともあるし、「牡蠣(海のカキ)ってなあに?」「軍艦ってなあに?」なのである。これらはみな中学生(しかも成績は上位だ)に聞かれたことだ。溢れる情報の中に生きているのに実際には知らないことだらけなのである。つまり簡単に触れられる情報は頭に残らないのである。これは、最近流行の電子辞書にも当てはまると思う。あまりにも簡単に調べられるから頭に残らない。電子辞書の中には中辞典クラスの内容を搭載しているものもあるが(高価だけど)、簡単に引けるからせっかくの内容を全部丁寧に読もうとしなくなる(これは重要部分にマーカーで線を引いただけで勉強した気になっているのと似ている)。そうなってくるともう悪循環である。情報化社会だと言いながら、子供達の頭の中にある情報はどんどん減っていくのである。

 産業革命が「資本家/労働者」という階級社会を生み出したように、情報革命が「知識層/非知識層」という階級社会を作り出そうとしている。何とも皮肉なことである。あなたのお子さんはどちらの階級になると思いますか?


一つ前へ  次へ     塾日記目次へもどる   トップページへ