徒然日記その211. 大学入試のお話---小論文ならなんとかなる? (5/5)

 

 209回の続きである。大学の入学試験が多様化していることは何度も書いた。今回は、その多様化によって生まれた小論文試験のことを書いてみよう。

 以前から小論文試験はあったが、小論文試験をメインの選抜方法とする大学が急激に増えたように感じる。例えば、私立大学の推薦入試では、「小論文試験だけ」なんて大学がけっこうあるのだ。その結果、こういう大学を志望する高校生の中には「推薦狙い」なる者が出現するのである。

 これはどういう者かと言うと、推薦入試だけで合格しようと、普段の定期試験は一夜漬け丸覚えで高得点を取り(高校の成績が悪いと推薦してもらえない)、受験勉強は小論文の練習だけ、という高校生である。この作戦であっさり志望大学に合格できればハッピーなんだけど、世の中そんなに甘くない。不合格者は少なくないのである(競争率だってそれなりにあるし)。この不合格者はたいてい一般入試も受験するのだけど(一般入試は3教科とか2教科の学力試験である)、結局合格できない。だって、一夜漬け丸覚えを繰り返していたのだから学力の方はサッパリなのである。

 国公立大学志望にもおバカな受験生が少なくない。例えばこういう者。センター試験の結果がおもわしくなかったので、志望していた大学を諦めて受験大学を変更することになった。そこで、大手予備校の得点集計webサイト(ホームページ)に自己採点結果を入力である。インターネットが普及して、自分の得点を入れたらたちどころに合格可能(二次試験で逆転可能)な大学・学部の一覧が表示される。これは大変便利なのであるけれど、そこに出てくる合格可能性は必ずしも正しくはないのである。

 そもそもセンター試験で思うように得点できなかったということは、その時点ですでに低得点層なのである。そのような低得点で「二次試験で逆転可能」とでてくる大学・学部は、センター試験の配点が低くて二次試験の配点が高いものがほとんどである。二次試験の配点が高くてもレベルの高い大学は、さすがにそういう一覧には出てこないので(二段階選抜=足切りもあるし)、一覧に並ぶのは地方国公立大の二次試験の配点が高いところ、ということになる。こういうところの後期試験は、(文科系学部がほとんどだが)なぜか小論文だけの学部がけっこうあったりする。じゃあ受験してみて合格できるかいうと、ほぼ間違いなく無理である。だって小論文の勉強なんてしてないのであるから。センター試験が済んでから二次試験までの1ヶ月ほどで、それまで全然勉強してなかった小論文の勉強をしたって、十分な準備をしてきた受験生に勝てるわけはないのである。当然でしょ?それに国公立大の後期試験の競争率は(一般に)大変高いのだ。そう簡単に合格できるものではないのである。

 要は、しっかりと目標を定めて「楽することを考えないで」地道に努力することである。これは勉強だけに限らないことだけど。


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