公立高校を訪ねて 撮影体験記その1.「誰が通うの?こんな学校」
今年1月に、スクールネットのY氏から「公立高校の写真を撮影してきてほしい」旨の依頼をうけ、2月にその高校リストをいただいた。尾張地方郡部の高校が中心で、1日に7〜8校ずつ撮っても、7日程度はかかる分量だ。雨なら当然撮影は中止せざるをえない。エリア的に近い学校を7〜8校づつリストアップして車に乗り込む。生徒数の減少とも相俟って、ここ最近新設された高校はないという。新しい学校でも、10年以上前にできた新設校だ。古い私の地図でも高等学校はみんな載っている。
初日は尾張の東部地区の学校を数校まわることにした。私は尾張の西部地区(海部郡)の出身でこのあたりの土地勘は乏しい。3月の年度末ということもあって、ご多分にもれず、「道路工事」が多い。ここで一句・・・
年度末 予算つぶしの とおせんぼ
目的の高校の案内の看板(木製の柱で赤い矢印がある)が見つかって、急にウインカーを出す。後ろの車には迷惑と知りつつも、これがいわゆる「名古屋ばしり」だ。細い道をはいっていくと、急な上り坂。健脚の高校生ならこんな坂道もケッタ(自転車)であがっていくのだろうと思いながら車をすすめる。それらしい校舎がやっとみえてきた。「ところで正門はどこだ?」写真を撮るなら正門から玄関に向かって写したい。近くに車を停めて正門を捜す。あいにく通用門の方にきてしまったようだ。学校のまわりを1周して正門を見つけてカメラを取り出す。しかしどう考えても正門と玄関を同時に写すことが不可能なのだ。正門からだいぶ坂を登ったところに玄関がある。別々に写すしかない。この学校を1周する時に、少し暗がり(木がたくさん繁っている)になったあたりで、「この付近でちかん(痴漢)が出ます」という看板に気づいた。公立高校なので女子高生も通うわけだから「さもありなん・・」と思いつつも、物騒なところだ。
あまり気にもとめず次の高校へ急ぐ。次は一発で正門まで出られた。田んぼの中に校舎がぽつんとある感じだ。これなら10校ぐらい1日でまわれそうな気がしてきた。3校目に向かう前にガソリンを入れることにした。できる限りその学校の近くまでいって、道に迷ったら、ガソリンスタンドの店員に聞けばいいという腹づもりだ。地図ではかなり近くにきていると思しきあたりで給油。「現金、20リッター」といって、入るのを待つ。給油が終わり支払を済ませる時に店員に「このあたりで○△高校はどこですか?」と尋ねると、店員が「ちょっと分かりにくい」とのこと。店長らしき男性が「4つめの信号を・・・」確かに分かりにくい。最近の流行歌に「明日があるさ♪」というのがあるが、「なんとかなるさ♪」という心境でその学校へ向かう。いわれた通り4つめに信号で左折してみたもののそれらしい建物がみえてこない。このあたりは丘陵地帯なので見通しが悪いのだが、結果的には5つ目の信号をまわらなければならなかったのだ。最近新しく信号ができたのかもしれない。なんとか辿り着いて撮影をすませると、またあの看板(この付近でちかん(痴漢)が出ます)だ。
どの高校も交通の便が悪いところに立地している。学校には校舎と校庭(運動場)が必要なので充分な土地が必要になる。広い土地のあるところは田舎でも少なくなっているのか?地元の人でも分かりにくいところって、遠くから通う生徒がわかるの?女生徒でも安心して通えるところに学校できないの?男の生徒でも恐喝にあいそうな暗がりじゃないか?ふと思いました。「誰が通うの?こんな学校」。
尾張在住T